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1980年代のパリ。石油配達員として真面目に働く平凡な男イヴォン。彼の日常は、二人の学生が使った一枚の500フラン偽札によって崩壊する。写真店の店主から偽札を押し付けられ、それとは知らずに使ったことで逮捕されてしまうイヴォン。職も信用も失い、無実を訴えるも、社会の不条理な悪意の連鎖は彼を追い詰めていく。妻に去られ、絶望の淵に立たされた彼の心に静かな狂気が芽生え、やがて取り返しのつかない犯罪への道へ。すべてを失った男がたどり着く、あまりにも過酷で衝撃的な運命。
ネット上の声
- ドア、ドア、ドア、ドア、ドア・・・・・。
- 一番観たくない映画の原作はトルストイ
- 映画とは何か、を問いつづけた生涯。
- カットの間にある空白こそ映画だ
ヒューマンドラマ
- 製作年1983年
- 製作国フランス,スイス
- 時間85分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演クリスチャン・パティ
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第二次大戦下、死刑宣告を受けた男の、スプーン一本で自由を掘り起こす執念の脱獄劇。
1943年、ナチス占領下のフランス。レジスタンスの中尉フォンテーヌはゲシュタポに捕らえられ、リヨンの刑務所で死刑を宣告される。絶望的な状況下、彼はスプーンを削って作ったノミで独房の分厚い扉を解体し始める。看守の足音、他の囚人の気配、わずかな物音も許されない極限の緊張感。来る日も来る日も、ただひたすらに自由への道を掘り進めるフォンテーヌ。脱獄計画が最終段階に入ったその時、彼の独房に若い少年が送り込まれてくる。この出会いは希望か、それとも絶望の始まりか。究極の選択を迫られる男の運命。
ネット上の声
- スターも名シーンも無しに残り続ける作品
- 監獄からただ脱獄するだけの映画
- 凄まじくリアルな脱獄手記より
- 列車の轟音が味方になる瞬間
サスペンス
- 製作年1956年
- 製作国フランス
- 時間100分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演フランソワ・ルテリエ
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現代社会のあらゆるものに絶望した一人の青年が、自らの意志で「死」へと向かう、ロベール・ブレッソン監督の衝撃作。
舞台は1970年代のパリ。政治、宗教、精神分析、そして環境破壊。あらゆる社会問題に直面し、その偽善と無力さに絶望する青年シャルル。彼は恋人たちとの関係や、様々な思想との出会いを通じても、生きる意味を見出すことができない。救済の道を全て閉ざされた彼が、最後にたどり着く一つの結論。それは自らの手で人生の幕を引くという決断。ブレッソン特有の抑制された演出で、魂の彷徨と現代文明への痛烈な批判を描き出す、孤高の傑作。
ネット上の声
- ブレッソンの余りにも救いのない到達点
- タイトルなし(ネタバレ)
- ブレッソンは映画を痩せ細らせその本質だけを先鋭化させたのではなく、痩せ細らせた映
- 進んでいけばいくほどにカメラの映すもの、社会はシャルルを完全に拒否している感覚が
ヒューマンドラマ
- 製作年1977年
- 製作国フランス
- 時間97分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演アントワーヌ・モニエ
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夏のパリ、セーヌ川の橋の上で出会った孤独な男女。4つの夜に交わされる言葉が運命を揺さぶる、幻想的な恋愛譚。
舞台は1970年代、夏の夜のパリ、ポンヌフ橋。夢を追うも世間から孤立する青年画家ジャックは、橋から身を投げようとしていた女性マルトを救う。彼女は1年前に姿を消した恋人が戻るのを、毎夜この場所で待ち続けていた。この偶然の出会いをきっかけに、二人は夜ごと会う約束を交わす。ジャックはマルトの孤独を埋めようと心惹かれ、マルトも彼の優しさに心を開き始める。しかし、彼女の心は今もここにいない恋人に縛られたまま。約束の4日目の夜、彼らの儚い夢が迎える切ない結末。
ネット上の声
- ブレッソン監督の中でも余り言及されることのない、本作
- ブレッソンの情緒そして性欲への冷徹な視線
- 美しいショットの連なりの童貞処女映画
- 何てことない物語だけどおもしろかった
ヒューマンドラマ
- 製作年1971年
- 製作国フランス
- 時間83分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演ギョーム・デ・フォレ
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14歳の少女を包むのは、世界の無慈悲と絶望。その魂が放つ、痛切で孤高な抵抗の物語。
1960年代、フランスの片田舎。14歳の少女ムシェットは、病気の母と酒浸りの父、そして世間の冷酷な視線の中で孤独に生きていた。学校ではいじめられ、村人からは疎まれる日々。ある嵐の夜、森で出会った密猟者の男との出来事が、彼女の運命を決定的に狂わせる。誰にも理解されず、救いのない現実の中で、彼女が選んだ最後の抵抗。その純粋な眼差しが、観る者の心をえぐるように問いかける、魂の記録。
ネット上の声
- せっかくシネモンドさんで上映されたのに行けなかった・・・ので、過去のメモから
- 涙は目からこぼれ落ちるものだけじゃない
- 徹底したリアリズム・終始一貫する暗さ
- 鳥の罠、割れたコーヒーカップ、胸の傷
ヒューマンドラマ
- 製作年1967年
- 製作国フランス
- 時間80分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演ナディーヌ・ノルティエ
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「ラルジャン」「スリ」「ジャンヌ・ダルク裁判」などで知られる名匠ロベール・ブレッソン監督が1966年に手がけた長編7作目。文豪ドストエフスキーによる「白痴」の挿話から着想を得て、一匹のロバとひとりの少女の数奇な運命を描き出した。ピレネーの小さな村に住む幼い少女マリーは、生まれたばかりのロバにバルタザールと名付けてかわいがっていた。10年後、バルタザールは鍛冶屋の苦役に使われていたが、その苦しさに耐えかねて逃げ出し、マリーのもとへと向かう。成長したマリーは再会を喜び、バルタザールを連れて歩くが、彼女に思いを寄せるジェラールは嫉妬し、バルタザールを痛めつける。物言わぬロバの視点を通して人間の愚かさや醜さを淡々と描き、ベネチア国際映画祭で審査委員特別賞を受賞するなど傑作として知られる。主演は、後に「中国女」をはじめゴダール作品に多く出演することになるアンヌ・ビアゼムスキーで、彼女の映画初出演作。日本では70年に劇場初公開され、95年にもフランス映画社配給で公開された。2020年10月には、4Kリストア・デジタルリマスター版でリバイバル公開。
ネット上の声
- 一匹のロバの眼を通して啓示する人間の罪と科、そしてブレッソンの厳しさ
- 綺麗なものは汚され、善良なものは奪われ。
- 美しい少女マリーと、ロバのバルタザール
- マリ―もバルタザールも誰のものでもない
ヒューマンドラマ
- 製作年1964年
- 製作国フランス,スウェーデン
- 時間96分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演アンヌ・ヴィアゼムスキー
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「バルタザールどこへ行く」「スリ」など数々の名作を生んだフランスのロベール・ブレッソン監督が、1951年に手がけた長編第3作。カトリック作家ジョルジュ・ベルナノスの同名小説を原作に、聖と俗の間で葛藤する若き司祭を静謐なタッチで描き出す。北フランスの寒村に赴任した若い司祭は、身体の不調を自覚しながらも、村人たちの悩みを聞き布教と善行に励む日々を送っていた。しかし、彼の純粋な信仰への思いは村人たちとの間に次第に溝を生じさせ、事態は思わぬ方向へと展開していく。キャストには素人を起用し、音楽やカメラの動きなども含めた“演出”を削ぎ落としていく手法で、ブレッソン独自のスタイル「シネマトグラフ」を確立した作品。日本では製作から70年にわたり劇場未公開だったが、2021年6月に4Kデジタルリマスター版で劇場初公開となった。
ネット上の声
- 神学生や、躓きと疲れをおぼえている若き牧師・司祭たち、そして老練なベテランたちにもぜひ観てもらいたい、 ピンポイント・ターゲットの映画です
- 【貴重な体験だった、古臭い難しい...でもこれこそ映画体験のような気もします】
- 「それがどうした?すべては神の思し召しだ」
- 50年前に10回以上観た
ヒューマンドラマ
- 製作年1950年
- 製作国フランス
- 時間115分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演クロード・レデュ
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「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」「スリ」などの名作を手がけたフランスのロベール・ブレッソン監督が、「アーサー王伝説」の後日譚である王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋をモチーフに、騎士道精神の崩壊を現代的視点から描いた歴史ドラマ。聖杯探索に失敗して多くの死者を出し、城に帰還した円卓の騎士たち。その中のひとりであるランスロは、王妃グニエーヴルとの許されざる恋に苦悩していた。不倫の解消を神に誓うランスロだったが、グニエーヴルにその気はない。彼らの不義を利用して権力を手にしようと企むモルドレッドは、仲間を増やすべく暗躍する。そして騎士たちの絆に亀裂が入り始め、事態は思わぬ方向へと展開していく。1974年・第27回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。
ネット上の声
- 上手い映画と面白い映画は、まったき、違う
- ロベール・ブレッソン監督作品8作品目…
- 円卓の騎士たちの寒々とした終焉
- ストーリー、というよりも…
ヒューマンドラマ
- 製作年1974年
- 製作国フランス,イタリア
- 時間84分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演リュック・シモン
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「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」のロベール・ブレッソン監督がスリを題材に手がけたサスペンスドラマ。生まれつき手先が器用な貧しい大学生ミシェルは、いつしかスリをして生計を立てていくようになる。最初は警察に捕まりもしたが証拠不十分で釈放され、次第に犯行は組織だったものになっていく。一方、母親のアパートの隣室に住むジャンヌはミシェルにひかれていくが……。日本初公開は1960年。2011年、ブレッソンの名作をニュープリント版で上映する「映画の國名作選III ロベール・ブレッソンの芸術」でリバイバル公開。
ネット上の声
- 本作の主人公、ミシェルの精神は、ドストエフスキーの『罪と罰』の主人公、ラスコーリ
- 信じられないほどにストイック
- 『pickpocket』より『スリ』へ
- 華麗なるマジックハンド
ヒューマンドラマ
- 製作年1959年
- 製作国フランス
- 時間76分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演マルタン・ラ・サール
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ドストエフスキーの短編小説を翻案し、舞台をロシアから製作当時のパリに置き換えて映画化。ロベール・ブレッソン監督にとって初のカラー作品となった。自殺してしまった若い妻の死体を前に、夫は2年間の夫婦生活を振り返り、妻の不可解な自殺の原因を探ろうとする。その物語を通し、夫婦とは、人を愛するとは何かを問いかける。15歳で年上の男性と結婚するも、数カ月で離婚したという経歴をもつ、当時17歳のドミニク・サンダが主演し、銀幕デビューを飾った。日本では1986年に公開されて以来、ソフト化されていなかった幻の作品だったが、2015年4月にデジタルリマスター版が公開された。2021年にもリバイバル公開。
ネット上の声
- ハァハァ…ドミニクサンダかわいい…ハァハ
- ブレッソンの(女に対する)慧眼
- 語り口の少ない手法が魅力的
- 明晰である故の凶器。
ヒューマンドラマ
- 製作年1969年
- 製作国フランス
- 時間89分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演ドミニク・サンダ
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史上名高いジャンヌ・ダルク裁判の正確な再現を通して、ジャンヌの苦悩と、心の葛藤を描写した作品。監督と台詞は「スリ」のロベール・ブレッソン、撮影はレオンス・H・ビュレル、音楽はフランシス・セイリグ、美術はピエール・シャルボニエ。出演はフロランス・カレ、ジャン・クロード・フールノー、ロジェ・オノラ、マルク・ジャッキエ、ミシェル・エリュベルなどほとんどが素人の俳優である。
ネット上の声
- ブレッソンのジャンヌ・ダルク
- ジャンヌの足
- ストイック
- ドライヤーの「裁かるるジャンヌ」と対称的なアプローチながら、それに匹敵するくらい
ヒューマンドラマ
- 製作年1962年
- 製作国フランス
- 時間65分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演フロランス・カレ
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「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」「ラルジャン」などで知られ、ヌーベルバーグにも影響をもたらしたフランスのロベール・ブレッソン監督のデビュー作。女子修道院を舞台に、あつい信仰心と使命感に満ちたアンヌ=マリーと不幸な犯罪に手を染めた若い娘テレーズとの対峙(たいじ)を通して、修道女たちの葛藤(かっとう)や憎しみ、友愛を描く。
ネット上の声
- 深読みすれば百合
- ブレッソンの長編デビュー作
- コラ!痛いだろうが!
- 新入り修道女の主人公アンヌ・マリーが、出所後にすぐに殺人を犯し修道院を隠れ蓑にと
ヒューマンドラマ
- 製作年1943年
- 製作国フランス
- 時間96分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演ルネ・フォール
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「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」などで知られる孤高の映画作家ロベール・ブレッソンが1944年に手がけた長編第2作。18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロによる小説「運命論者ジャックとその主人」を原作にブレッソンが自ら脚色し、ジャン・コクトーがセリフ監修を手がけた。
上流階級のエレーヌは恋人ジャンの愛を確かめようと別れ話を切り出すが、ジャンはあっさりと別れに同意する。ジャンへの復讐心を募らせたエレーヌは、男を相手に稼いでいるダンサーのアニエスをジャンに仕向けるが……。
「天井棧敷の人々」のマリア・カザレスがエレーヌ、「高原の情熱」のポール・ベルナールがジャン、「エドワールとキャロリーヌ」のエリナ・ラブルデットがアニエスを演じた。
ネット上の声
- シネフィルの彼
- 初期ブレッソンの「ふつうの」演出の冴えを堪能できるが、お話自体はかなり妙ちきりんな気も。
- レビュー2000本目はこの作品に決めてた
- 悋気は女の慎むところ
ヒューマンドラマ
- 製作年1944年
- 製作国フランス
- 時間85分
- 監督ロベール・ブレッソン
- 主演ポール・ベルナール