- 製作
- 1993年 ロシア
- 時間
- 68分
- 監督
- アレクサンドル・ニコラエヴィッチ・ソクーロフ
- 出演
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- 種類
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現代ロシア映画の鬼才アレクサンドル・ソクーロフが製作中のドキュメンタリー連作〈エレジー・シリーズ〉の7本目にあたる作品。本作はサンクト・ペテルスブルグ郊外にあるサナトリウムに入院している末期癌患者を一応の主題としているが、ソクーロフのイメージ映像は患者の内的世界に飛び込み、帝政ロシアの末期の写真や第一次大戦の戦闘の映像、ロシアの自然の光景へと自在に翼を広げ、死を目前に控えた人々と、彼らの住む国の魂を大胆に映像化していく。撮影は「静かなる一頁」「精神の声」まで近年のソクーロフのほぼ全作品を担当しているアレクサンドル・ブーロフ、録音も同じく常連スタッフのウラディミール・ペルソフ、編集はレーダ・セミョーノワ。音楽はP・I・チャイコフスキーの作品から、ピアノソナタ『子供のためのアルバム』のなかの「フランスの古い歌」。映画のなかで使われる帝政ロシア末期の写真はマキシム・ドミートリエフの作品。なお本作は監督の親しい友人で来日時に通訳を務める児島宏子氏に献呈されている。93年山形国際ドキュメンタリー映画祭で絶賛され、審査員特別賞を受賞。