監督アレクサンドロフは「ストライキ」「戦艦ポチョムキン」「十月」「全線」等においてエイゼンシュテインの共同監督として著名であり、その作品には日本でも公開された音楽喜劇「陽気な連中」(一九三四)、「サーカス」「ウォルガ」(一九三八年)「明るい道」(一九四〇年)のほか、戦時中に「戦争映画集粹」「一家族」「潜水艦T9号」等を発表しており、戦後最初の作品たる「春」は一九四七年度ヴェニス国際映画コンクールで一等入選をした。撮影のエケリチークは日本でも公開された「イワン」のほか「シチヨルス」「ボグダン・フメリニッキイ」等のカメラマンとして著名である。一人二役で主演のリュボーフイ・オルロワは「陽気な連中」以後のアレクサンドロフ作品全部に主演しているソ連映画最大の人気女優の一人であり、相手役ニコライ・チェルカーソフはソ連人民俳優の称号をもち、エイゼンシュティンの「アレクサンドル・ネフスキー」および「イワン雷帝(1946)」に主演し、ペトロフの「ピヨートル一世」ではピヨートルの子アレクセイにふんし、そのメイク・アップ技巧は現在ソ連映画界における最高のものといわれている。なお、作曲者ドワナエフスキイは「陽気な連中」以来、アレクサンドロフ作品の作曲を担当しているソ連軽音楽界第一人者である。
- 製作年1947年
- 製作国ソ連
- 時間---分
- 監督グリゴリー・アレクサンドロフ
- 主演ニコライ・チェルカーソフ