無頼派の作家・坂口安吾の「堕落論」に並ぶ代表作「白痴」を、手塚治虫の長男・手塚眞がメガホンをとり映画化した文芸大作。戦時中の秘められた男女の共同生活と逃避行を描いた原作を、ビジュアリストと呼ばれる手塚眞のイマジネーションにあふれた独自の発想と演出で大胆に映像化。ベネチア国際映画祭で上映され、先鋭的な映像技術のすぐれた作品に与えられるデジタルアワードを受賞するなど注目を集めた。延々と続く戦争により人々の生活が荒み、どこか終末的な空気の漂う日本。映画制作を志しながらテレビ局のADとして働く伊沢は、戦意高揚番組と安直で低俗な歌謡番組ばかりの仕事に幻滅していた。なかでもカリスマ的アイドルの銀河の傍若無人さと、粗暴なディレクターの落合の理不尽な仕打ちには、心身をすり減らすばかり。そんなある日、隣に住む木枯の妻で白痴の女性サヨが伊沢の部屋に忍び込んでくる。そこから2人の奇妙な共同生活が始まり……。巨大なオープンセットを建造し、クライマックスシーンでは実際にそれを爆破、炎上させるなど大スケールの撮影で製作に10年を費やした。主演は「御法度」などで人気を集めた浅野忠信。ファッションモデルとして活躍した甲田益也子のほか、草刈正雄、橋本麗香、原田芳雄、江波杏子、藤村俊二、岡田真澄ら名俳優が顔をそろえる。1999年製作・公開(松竹配給)。2020年10月、製作20周年を記念してデジタルリマスター版でリバイバル公開(ネオンテトラ配給)。
ネット上の声
- 親の七光りであり、個人としての才能。
- 甲田益也子さんの美しさが際立つ
- 狂気が静かに、呼び起こされる
- 監督も安吾ファンですよね?
ヒューマンドラマ
- 製作年1999年
- 製作国日本
- 時間146分
- 監督手塚眞
- 主演浅野忠信