1980年、家元制度打倒を叫び刺傷事件を起こした花柳幻舟、彼女の一人の女性としての生き方を通して浮かび上がる日本そのものの姿を描くドキュメンタリー。“20世紀雌ギツネプロ”を名乗る5人のイギリス女性、キム・ロンジノット、クレア・ハント、ジェーン・ベンサム、シャノ・ウィリアムス、トゥルディ・ディヴィーズがそれぞれ製作・監督・撮影・編集を分担して担当。出演はほかに嵐家三郎、色川武大ら。映画は旅芸人の娘として大阪に生まれ、2歳の時から舞台の上に立ち、やがて花柳流の家元になる幻舟の、その実体験に根づく家元制度、天皇制、差別といったものに対する批判を描く。そして単なる興味本意に終わらせず、そこに原題の通りの「着物を食う」、つまり日本女性を縛るものへの反抗を見たイギリス人スタッフが日本ロケを敢行することによって、芸人として実父嵐長三郎と共演したり、故色川武大などさまざまな人々と交流する彼女の日常の姿を描き、その生き方そのものにまで及ぶ彼女の人間性を捉えている。カラー、16ミリ。
ドキュメンタリー
- 製作年1989年
- 製作国イギリス
- 時間60分
- 監督キム・ロンジノット
- 主演花柳幻舟